車の運転で、怖いシチュエーションの一つが猛烈な横風です。
急な横風にハンドルをとられそうになってヒヤリとする経験は、高速道路を走っていると一度は経験します。
風が強く吹き荒れる場所はほぼ決まっていますが、突風が吹きよせるときや、台風が接近して風の強い状況が続くときは、正しい走り方を覚えて慌てないことです。
突風や台風は天災ですが、車に何かあったとき、無条件に車両保険が適用されるわけではありません。
横風にあおられて横転しないための走り方と、不可抗力と考えられる突風や台風のとき、車両保険が適用されないケースも合わせて押さえておきましょう。
トラックさえも横転する運転中の横風
高速道路を走っていて、横風が吹いていると、運転にどれくらいの影響があると思いますか?
軽ワゴン車などは、隣の車線を走るトラックが発生する風であおられたり、トラックが脇を通過したあと、トラックに引き寄せられることがあります。
実験の結果では、風が強ければ強いほど遠心力が働き、ハンドルをとられやすくなります。
横風が吹くとき、瞬間最大風速は平均の風速の1.5倍から3倍になります。平均の風速が毎秒30メートルになると、なんとトラックでさえ横転するのです。
車高が高い車と重い車は要注意
軽ワゴン車は、背が高いわりに車重が軽く、タイヤも細いので運転中の横風に弱いのです。
軽ワゴン車はなんとなくわかりますが、なぜトラックでさえ横転するのでしょうか?
遠心力によってハンドルをとられ、あわてて急なハンドル操作で体制を立て直そうとすることで、横転してしまうのです。
そのため、軽ワゴン車のように車高が高い車とトラックのように重い車は、横風が強いときの運転は特に気をつける必要があります。
突風が吹きやすい場所
風が強いときは、橋の上やトンネルの出口、切通しの通行は、運転には特に注意が必要です。
橋の上は、下から吹き上げるように風が吹いてきます。
トンネルや切り通しは、トンネルの出口を出たとき、または切り通しの割れ目に入った瞬間に、急な横風にあおられることがよくあります。
ビル街も意外と危険で、ビル風が突然吹き付けてくることもあるので、高いビルのそばを通行するときは、運転に注意が必要です。
突風が吹き荒れるときの安全な走り方
横風にあおられたら、しっかりハンドルを握り、真っ直ぐ走るよう保ちます。
そして、スピードを落としましょう。スピードを上げると、前に進む力が増えて、横転しにくいと考える人もいますが、逆に風にあおられて隣の車線へ滑り、ひどいときは片足走行のようになって、最悪横転します。
空気抵抗は速度の自乗に比例して大きくなり、強風下でも同じメカニズムが働くので、速度を落として運転するのがベストの対応です。
突風が予想されるときは、天気予報を十分チェックし、万一運転中に危険を感じたら安全な場所に退避し、天候が回復するのを待ちましょう。
強風にあおられて、いろいろなものが飛んでくることもあるので、ボディーに傷がついたりパンクすることもあります。物が飛んでくるほど風が強いときは、不要不急の車の運転は控えましょう。
突風のときはドアの開け閉めも注意!
突風が吹き荒れるときは、車のドアの開閉にも注意しましょう。
強風でドアがあおられて、勢いよく隣の車にぶつかったり、人が歩いているところへドアがぶつかって、思わぬケガをさせることもあります。
ドアの開閉にも十分注意するとともに、隣に車が停まっているときは、駐車しないなどの心がけも必要です。
台風でできた車の傷はすべて不可抗力か?
台風の影響で、駐車場で車のドアを開けようとしたら、風であおられて隣の車のドアにぶつかり、相手の車にも自分の車にも傷がついてしまいました。
この場合、相手の車には対物で対応するとして、車両保険は不可抗力で等級据え置きになることがあるので、自分の車の傷は台風による不可抗力でできた傷では?と考える人がいます。
不可抗力というのは、空から落下してきて避けようがない状況などをいいます。
このケースは、強風下で隣に車が停まっているときにドアを開ければ、ドアが風にあおられて隣の車にぶつかることは十分予測できるので、残念ながら台風による不可抗力とはなりません。
まとめ
トンネルの出口や、橋の上を走るときの突風は、とにかくハンドルをしっかりと握って真っすぐ走る状態を保ち、次にとにかくスピードを落としましょう。
台風が近づいているときは、高速道路も速度規制が行われますが、通行止になったら物が飛んでくる可能性さえあります。無用の車の運転は避ける賢明さも必要です。