クルマを運転する行為は、常に事故のリスクがつきまといます。
自動車保険は万一の事故に対する備えですが、安易に車両保険でクルマを直すと、大きく損をすることがあるのです。
クルマをこすったために家計を圧迫したり、お小遣いが減ったりすることのないよう、修理代がいくらなら保険で直さない方がよいか、自動車保険の等級制度と車両保険のしくみを学びながら理解してください。
事故にペナルティを科す自動車保険の等級制度
自動車保険の等級制度は、1年間無事故で運転すると次の年から等級が上がり、保険料は1~10パーセント程度割引になります。
事故を起こして保険を使うと、次の年から等級が3等級、事故の種類によっては1等級下がり、保険料も上がります。
無事故を続けるドライバーに対しては保険料の割引で優遇し、事故を起こしたドライバーに対しては「ペナルティ」を科す制度といえます。
保険を使うとペナルティがより厳しくなった
法律の改正で、2013年から自動車保険には事故有等級制度が導入されました。
事故有等級とは、3等級下がる事故を起こすと、次の年から3年間は保険料の割引率が10~20パーセントも下がり、高い保険料を払うことになります。この期間を「事故あり係数期間」とも呼びます。
火災(飛んでくるもの、または落下してきたものが原因)、台風、落書きやイタズラなど、基本的にドライバーの責任ではない事故は、1等級下がり、1年間割引率が20パーセント程度下がります。
事故に対するペナルティが、より厳しくなりました。
車両保険を使うと損になるデッドライン
軽い事故では保険を使わない方が、等級は上がり次の年から保険料も値下がりするので、保険を使う前に、修理代金と次の年から3年間値上がりする分を比べてみましょう。
等級にもよりますが、保険を使って事故有等級になると、次の年から3年間の保険料が30数万円、保険を使わなければ20数万円と試算されます。
クルマをぶつけた、または駐車場の中でクルマをこすったような事故で、修理代金が10万円くらいなら、自腹を切った方がトクになります。
自損事故の場合は、保険を使うか使わないかの判断は簡単ですが、相手がある事故の場合は、事故を起こした時点では正確な賠償額がわかりません。
保険を使う前提で話を進め、賠償額が判明した時点で保険を使うべきか、保険会社の担当者に確認してみましょう。
軽い事故は車両保険を使わない自動車保険の新常識
デフレの時代には、給料が大幅に上がることは望めないので、支出をできるだけ抑えることが重要です。
まとまったお金がないために、どうしても保険で直さなければいけないというドライバーもいるでしょう。
そうしたドライバーでない限り、修理代金と保険料が上がる分を比べて、車両保険で直すか直さないか判断することは、自動車保険の新しい常識となるでしょう。
まとめ
・自動車保険は、事故に対するペナルティが厳しい。
・3等級ダウンの事故を起こすと、3年間高い保険料を払う。
・保険を使わなければ、等級は上がり保険料も下がる。
・修理代が10万円くらいなら、自腹を切った方がよい。
車両保険を使う前に、修理代金と保険料が上がる分を比べ、または保険会社の担当者にも確認して、ムダな出費を抑えよう。