下回り洗浄って必要?神経質になる必要ない?プロは闇雲に高圧かけない洗浄のすべて

車のボディの汚れや傷。気になりますよね?

そんな時には洗車をするかと思うのですが…下回りの洗浄って行ったことありますか?

車の下回りもボディと同じく多くの場合は鉄でできています。

下回りの洗浄を怠ると錆が発生し、それが原因で大きな事故につながることも。

そうならないための下回り洗浄と錆を止める錆止め塗装について解説します。

目次

車の下回り洗浄しないとマズイ?

下回りも分厚い塗装に守られているので、通常であれば問題が発生することはありません。

ですが、その分厚い塗装があっても下回りが腐食するというケースも珍しくないのです。

下回り洗浄の必要性は、その車の使用環境によるところが大きいといえます。

車の下回り洗浄

錆が発生するリスクがある

分厚い塗装で守られているにもかかわらず、なぜ錆が発生するのか?まず第一に考えられるのは海の近くでの使用による塩害です。

また悪路を走る際に塗装面を直接こすったり、飛び石が当たったりすることによって塗装が剥げることも。

この塗装面の剥げた部分からはより錆が進行しやすくなります。

放置すると事故につながる可能性も

下回りの中でも特に分厚い塗装で守られているのが、メンバーやサスペンションなどの足回りの部分。

足回りは常に振動や車の荷重がかかる部分なので、特に強度が求められる部分です。

この足回りに錆が発生すると当然強度が下がることに。

頑丈に作っている分、壊れるときのエネルギーは非常に大きいものとなり、事故につながるのは容易に想像できますよね。

下回り洗浄は車検の際にやるべき?

下回り洗浄をやる必要があるかは、実際に目視で下回りを観察するのが一番。

車検のタイミングは、下回りの点検が行われる機会としては適しているといえます。

ただし車検はあくまでも保安基準に適した車両であるかの点検であり、下回り洗浄の必要性を判断する点検項目はありません。

塩や泥が付着していても、走行に支障がないと判断されればパスしてしいます。

なので、車検OK=下回り洗浄の必要はないと判断するのは間違い。

実際には整備を担当する整備士からのアドバイスを参考にして、ユーザーの判断によって下回り洗浄をすることになります。

下回り洗浄の具体的な方法

下回り洗浄には特殊な洗浄剤などは不要で、一般的な水道水でOK。

大量の水で塗装面の付着物を洗い流すというのが下回り洗浄になります。

下回りの洗いにくさという点さえクリアすれば、自宅のガレージでも下回り洗浄は可能です。

具体的な方法

ガソリンスタンドやコイン洗車場の洗車機

「車を洗う」といえば、やはり洗車機。

近年では通常のボディだけではなく、下回りやホイール回りの洗浄ができる洗車機も増えてきました。

洗車機で下部洗浄だけってできる?

通常の洗車機では下部洗浄はできません。

洗車機は主に上下左右からブラシを用いてボディを磨く構造で、水の噴霧も下部に向けたものではないのです。

下部洗浄ができる洗車機の特徴は、床面にグレーチング蓋がされていて、その下に水を噴霧するためのバルブが装備されています。

下部洗浄が可能な洗車機であっても、サービスとして「下部洗浄のみ」という設定をしていない店舗も。

この場合は他の洗車コースと同時に行われる形で下部洗浄が行われることになります。

洗車機のオプションで下部洗浄やホイール洗浄もできる

下部洗浄ができる洗車機が前提ですが、下部洗浄やホイール洗浄のコースが選択できるオプションが用意されている場合もあります。

洗車機の洗浄コースは、設置している店舗によって設定が異なるので、事前に好みのコースが選べることを確認すると良いでしょう。

ディーラーや専門店に依頼する

ディーラーなどでは下回り洗浄を「高圧スチーム洗車」の一環で行っているケースもあります。

高圧スチームは高圧洗浄機にボイラーを追加し水を蒸気化して吹き付けるもので、家庭用のスチームクリーナーと同様に汚れを浮かせて除去します。

作業員による洗浄効果も高いですが、屋内での作業では水が飛散しないように専用のカーテンを設置など設備が必要なります。

そのためサービスがある店舗であっても、待ち時間や工賃設定が高いこともあります。

高圧洗浄機でDIYする

高圧洗浄機は家庭用製品のものでも可能です。

セルフ洗車場の業務用高圧洗浄機でなくとも、ケルヒャーなどの家庭用高圧洗浄機であれば、自身で下回り洗浄できます。

作業スペースを確保するためにジャッキアップが必要ですが、自動車の落下事故などを考えて離れた位置から噴霧しましょう。

高い水圧で洗うのではなく、大量の水を吹きかけることを意識します。

また下回り洗浄に特化したケルヒャーでは、下回り洗浄向けのアタッチメントもあり、リフトアップなしで水道ホースにつないで下回り洗浄ができます。

下回り洗浄をDIYするときの注意点

車は雨の日でも走るものですから、ある程度は水にぬれることは想定していますが、積極的に水をかけてはいけない場所もあるのです。

ディーラーや専門店で行われる下回り洗浄の場合、作業員は洗浄すべき場所を熟知しています。

DIYの注意点

電気関係のパーツに水を当てない

電気関係のパーツにとって水は大敵です。

下回り洗浄において、最も水をかけやすい場所として考えられるのがABSの車輪測センサー。

タイヤの回転数を測っているセンサーなのでタイヤの傍にあり、ある程度は水で濡れることを想定しているものですが、高圧で水を吹き付けるのは良くありません。

またメンバーの隙間を通ってエンジンルーム側に入ると、バッテリー、スターターモーター、オルタネーターなど、あらゆる電装品に影響があります。

EV・PHEVの充電中はNG

EVやPHEVでは電気系パーツが特に多いのですが、下回り洗浄を行うこと自体は問題にはなりません。

問題になるのは充電中に洗車を行うこと。

充電ポートは、普段、水を遮断するためにカバーによって遮断されていますが、充電のためにケーブルを接続した状態では水に対して無防備の状態となります。

この状態で水がかかってしまうことでショートを起こし、漏電や車両火災などにつながります。

下回り・シャーシの錆びを予防する方法は?

下回り洗浄を行う理由は、錆による腐食を防ぐためです。

しかし、既に塗装が剥げてしまったりした場合は下回り洗浄だけでは不十分。

もっと別の方法で錆を止める方法を考える必要があります。

錆びを予防する方法

塩害とは?錆止めって必須なの?

塩害というと海に近い地域の潮風によるものがあります。

しかし、車の場合はこれ以外の要素で塩が付着することがあります。

例えば降雪地において使用される融雪剤。

融雪剤の主成分は塩化カルシウムという塩の一種で、降った雪を解かすために海水よりも高い濃度で使用されます。

また未舗装路における土や泥に含まれるミネラル分も錆を引き起こします。

車の下回りは分厚い塗装で守られているので、この塗装が健在である限りさほど気にする必要はないといえます。

しかし、ネジなどの部分は錆が浸透しやすいですし、何かの拍子に塗装面を傷つけて塗装を剥がしてしまうことも。

また中古車の場合は使用環境が不明であることが多く、下回り洗浄と塗装を同時に行うのがオススメです。

DIYで「サビ止めスプレー」ってどうなの?

カーショップでも、防サビ加工を行うためのサビ止めスプレーが販売されています。

しかしDIYで自宅ガレージで下回りの塗装やスプレーをするは作業性を考えるとあまりオススメできません。

スプレーをするにはそれなりに作業スペースが必要なのに、一般家庭のジャッキアップで確保できるスペースでは作業がやりにくいです。

スプレー缶自体も業務用と比べて容量が少なく割高で、更にマスキングも行わなければなりません。

厚塗りをするためには、2~3回に分けてスプレーする必要があるので、効率的に塗装するには車体の下を何度も往復する必要がでてきます。

また塗装を行う前には下回り洗浄をして塗装面の付着物を除去しておく必要もあります。

整備工場であればエアーコンプレッサーで素早く乾かすことができますが、この作業もDIYでは難しいと言える要因のひとつです。

下回り塗装でコーティング(アンダーコート)

下回りを塗装する塗料がアンダーコート。

店舗によっては「シャシーブラック」「パスタ塗装」などの名称で施工しているところもあります。

名称が違うのは、使っている塗料の性質のためで、防サビ加工を主目的としている点は一緒です。

施工についても業者によって異なります。

作業スペースの空き具合による施工時間、使用する塗料に伴う工賃など様々です。

また既に錆が出ている場合は、錆を落として進行を止めるための作業もあります。

下回りのチェックも実施しよう

表から見えるボディの傷や錆というのは目立つますが、下回りの傷や錆はなかなか目が行き届かないもの。

更にそのメンテナンスともなると手が出ないかもしれません。

しかし、下回りの傷はやがて錆となり、最終的には大きな部品の損傷や事故にもつがることも考えられるのです。

点検しにくい場所ですが、せめて車検の時ぐらいは確認をしておきたいものです。

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この記事を書いた人

ブーまる編集部では、実際に車を売ったり買ったり、自分で直してみたり「やってみた」を大事にしています。中古車系記事の監修は、一般社団法人日本リユース業協会の実施するリユース検定に合格した「リユース営業士」が行っています。整備記事の一部は、現役ディーラーマンが監修や執筆を行っています。

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