エンジンがオーバーヒート!?どんな現象?エンジンにダメージ残さない対処法

エンジンがオーバーヒート!?どんな現象?エンジンにダメージ残さない対処法

日々運転をする中で遭遇するエンジントラブルの中でも最も厄介といえるオーバーヒート。

重度のオーバーヒートとなるとエンジンそのものが破損してしまいます。

オーバーヒートを起こしたらどうすれば良いのでしょうか。

実はオーバーヒートによって発生する症状も原因も様々で、それによって対処法なども異なってきます。

この記事では、症状と原因も含めてオーバーヒートの対策方法を解説します。

目次

エンジンがオーバーヒートするってどういう意味?

オーバーヒートとは、そのエンジンの適正温度を超えた状態のこと。

車のエンジンは、外部から取り込んだ空気とガソリンの混合気を爆発させてパワーを作り出しています。

エンジン内は燃焼や摩擦によって発熱し、非常に高温な状態。

放っておくとその熱によってエンジンパーツが破損してしまうので、冷却も同時に行われています。

しかし、何らかのトラブルによって、エンジンの温度が上がりすぎたり、冷却性能が低下したりすると熱量が大幅に上昇してしまいます。

余分な熱は放熱しなければならないのですが、その放熱が追い付かない状態がオーバーヒートなのです。

エンジンがオーバーヒートすると発生する症状

エンジンがオーバーヒートすると発生する症状

エンジンはオーバーヒートすることで、正常な動きが徐々にできなくなっていきます。

つまり最初の異変から少しずつ状況が悪化し、段階的に症状が変わってくるのです。

では具体的にはどのような症状が出てくるのでしょうか?

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]オーバーヒート症状[/st-minihukidashi]

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水温計の異常や警告灯の点灯

オーバーヒートの初期症状と言えるのがインジケーターの点灯。

冷却が追い付いていない状態がオーバーヒートなので、冷却水での冷却能力を超えたことを温度で知らせてくれるわけです。

水温計が付いている車であれば中間より上に針があればオーバーヒートを起こし始めていると考えて良いでしょう。

より正確な水温を測定する冷却水用サーモメーターを取り付けている場合なら、冷却水温度90℃以上からがオーバーヒートの目安。

温度計の類がいずれもない自動車の場合は水温の異常を知らせる水温警告灯が点灯します。

エンジンの回転が安定しない

冷却水の温度が上がると、今度はエンジンそのものが熱を帯びてきます。

適正温度ではないエンジンの内部ではガソリンの自己着火も起き始め、それによってノッキングも発生し始めます。

ノッキングをセンサーで検知する頻度が多くなることにより点火時期の調整も多く行われ、エンジンの回転数も大きく変動するようになり、特にアイドリング時の回転数が不安定になります。

思うように加速しない

エンジンは冷えている空気と燃料の混合気を燃焼によって大きく膨張させることでエネルギーを取り出しています。

オーバーヒートによってエンジンが過熱している状態ですと、取り込まれる混合気もエンジンの熱によって温まるので、膨張させたときの差が小さくなり、結果として効率も下がります。

また混合気が点火以外の要素で熱せられるというのはノッキングの原因となるので、ノッキング回避のための点火時期制御が加速にも影響を与えます。

異音・異臭がする

点火時期の制御によって抑えていたノッキングも、その制御範囲を超えるレベルになると異音として認識されるほど音が大きくなります。

ディーゼルエンジンの様なカラカラとした音がするようであれば、それはノッキングによって出る音。

また冷却水の漏れなどがあれば、クーラント液の主成分であるエチレングリコールの甘い臭いがするようになります。

ボンネットから水蒸気が出る

本来冷却水の経路というのはラジエーター(ラジエータ、ラジエターとも言う)の上部にある、ラジエーターキャップの機能によって一定の加圧がされているので、冷却水が100℃を超えても沸騰しないようになっています。

その冷却水がボンネットから水蒸気として噴き出したということは、ホースやガスケットなどが圧力に耐えきれなくなり、冷却水が勢いよく漏れ出している状態。

この状態になるのはオーバーヒートの中でも最も重症な段階と考えられます。

オーバーヒートが起こる原因は?

オーバーヒートが起こる原因は?

通常の走行ではオーバーヒートを起こすことは考えにくいです。

オーバーヒートの主な原因として考えられるのはエンジンの冷却システムの不具合。

他にはエンジンの長時間運転や高負荷状態の場合が考えられます。

では具体的にはどのようなものなのでしょうか?

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]オーバーヒートの原因[/st-minihukidashi]

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冷却水の漏れ・不足

真っ先に考えられるのは冷却水がなくなっていた…つまり冷却水の経路内に冷却水自体がないという状態。

リザーブタンク内の冷却水は自然に蒸発しますので、点検を怠ると冷却水の不足に気付かずオーバーヒートの原因となりえます。

またホースに亀裂があるなど、水路内に物理的に穴があればそこから漏れ出てしまいます。

この場合は沸点を高めるための圧力も逃げてしまうので、よりオーバーヒートしやすい状態にあるといえます。

サーモスタットの不具合

サーモスタットとはラジエーターに繋がっている水路の開閉を行っている弁です。

サーモスタットによってラジエーターへ流れる水量を調整しています。

このサーモスタットが開かないようになってしまうと、ラジエーターへ冷却水が流れなくなり、ラジエーターを使った放熱ができなくなってしまうので、冷却水の過熱によってオーバーヒートにつながることも。

ウォーターポンプの不具合

ウォーターポンプは冷却水の循環のために動いているポンプ。

このウォーターポンプが不具合を起こすと冷却水の流れが止まり、エンジンの熱をラジエーターへと届けられずオーバーヒートを起こすことになります。

冷却用電動ファンの不具合

ラジエーターに流れてきた冷却水を冷やすには、ラジエーターに風を受ける必要があります。

冷却用電動ファンとは、ラジエーター裏に装着されているラジエーターファンのこと。かつてはファンベルトによって駆動していましたが、現在はモーター駆動が主流となっています。

この冷却用電動ファンが止まれば風の流れが遮られてしまうので、ラジエーターが上手く放熱できずにオーバーヒートにつながる原因となります。

この場合のオーバーヒートの特徴としては、走行風もないアイドリング時に発生しやすいということです。

冷却水の不足や劣化

リザーブタンク内の冷却水が十分でも起こるのが、ラジエーターキャップの不具合に伴う冷却水不足です。

ラジエーターキャップはラジエータ内が負圧になると開く弁があるのですが、こお弁が開かなくなるとラジエーター内の冷却水が減った時にリザーブタンク内の冷却水が供給されなくなります。

結果としてリザーブタンク内の冷却水は減ることはないのに、ラジエーター内の水が不足している状態が出来上がります。

またこの様なラジエーターキャップの不具合を起こす多くの原因は錆び付きによるもので、これは冷却水に添加されたクーラント液の防サビ機能が劣化によって失われているということも意味しています。

エンジンオイルの不足や劣化

意外かもしれませんが、エンジンオイルは潤滑だけではなく冷却装置としての役割もあります。

具体的にはヒストンヘッド裏側やタービンなど、冷却水を流すことができない場所に対してエンジンオイルを冷却液として使っていますし、場合によってはオイルそのものを冷やすオイルクーラーを取り付ける場合もあります。

冷却水が劣化することで冷却能力に影響が出るように、エンジンオイルの劣化もまた冷却能力に影響を与えます。

エンジンオイル交換を怠ることによっておきる不足や劣化は摩擦熱の増加にも繋がりますし、オイルポンプの故障やオイル漏れもオーバーヒートの原因となりえます。

エンジンへの高負荷や長時間走行など

冷却系システムが正常であるのに、オーバーヒートしてしまう…これは単純にエンジンとその車の想定範囲外の過酷な運転を続けたためと考えられます。

つまりは冷却性能を超えたということです。

例えば長い上り坂を登る場合。エンジンは高回転で回りますが、トルクを稼ぐためにギアは低速に。

つまりエンジンの回転数に対して速度はあまり出ていないので、ラジエーターが受ける走行風はエンジンの発熱量に対して少ない状態になります。

長時間の渋滞というのもエンジンにとっては過酷な条件となります。

ほとんどの時間がアイドリング状態なので、走行風による放熱が上手くいきません。

もちろん電動ファンは回りますが、これはあくまで補助的なもので冷却不足になりえます。

ただ近年ではアイドリングストップ機能を搭載した車両も増えていますので、長時間のアイドリング状態になるケースは減ってきています。

オーバーヒートが発生したらどう対処したらいい?

オーバーヒートが発生したらどう対処したらいい?

オーバーヒートになる前には何かしらの症状があります。

少しでも異変を感じたのであれば無理な運転は避けるべき…でも実際にはどのように行動すれば良いのでしょうか。

その対処方法と手順を確認してみましょう。

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]オーバーヒートの対処法[/st-minihukidashi]

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安全な場所に停車する

もし異変を感じたのであれば、その異変の原因を探りたいもの。そのためにも、まず車を安全な位置に停車させなければなりません。

停車させる場所として適切なのは、周囲の交通を妨げることがないスペース。

駐車場などが理想的ですが、そこまでの走行が難しいのであれば、できる限り幅の広い路肩や待避所などに停車することになります。

アイドリング状態で水温を確認する

安全な場所に停車しても、すぐにエンジンを止めてはいけません。

エンジンを止めてしまうと冷却水、冷却ファン、エンジンオイルなどの動きも止まってしまいますので、高熱になったエンジンがそのまま焼き付きを起こす可能性があります。

停車後はアイドリングを維持して、水温が下がるかどうかを確認しましょう。

冷却水やオイルの量を確認する

アイドリングを維持している間に、一度ボンネットを開けてエンジンルーム内を確認します。

煙もしくは水蒸気が見えている場合は、ボンネットも高温の場合があるので火傷には注意が必要です。

エンジンルームを見て、以下のことが確認できた場合は、それ以上アイドリングを続けても悪化させるだけなので、エンジンを止めてボンネットを開けての冷却になります。

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  • 大量の冷却水漏れを起こしている
  • 冷却ファンが止まっている

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アイドリングを続けて水温が下がったのを確認できた場合は、エンジンを止めて、冷却水やエンジンオイルの量を確認します。

エンジンオイルの確認はエンジン停止後2~3分後にレベルゲージを使って確認し、冷却水はリザーブタンク内に冷却水があるかを確認しましょう。

リザーブタンク内に冷却水がない場合の対処法としては、水道水もしくは軟水のミネラルウォーターを補充してください。

この時点ではラジエーター内の冷却水はまだ高温であり、熱水が吹き出す恐れもあるのでラジエーターキャップなどには触らないようにします。

ボンネットを開けて冷やす

冷却水やエンジンオイルの確認後はボンネットを開けてエンジンルーム内を冷やしていきます。

時間にすると1時間前後はエンジンを冷却するのに必要になります。

その間にエンジンルーム内の細かい場所をチェックするのも良いでしょう。

冷却水の甘い臭いがする場合にはどこかに漏れが発生していることも。温度低下に伴ってリザーブタンク内の冷却水が減っていない場合はラジエーターキャップの不具合の可能性があります。

何かしらの液漏れがあった場合には、地面まで滴り落ちていることも確認できるでしょう。

JAFや保険のロードサービスに連絡する

ボンネットを開けて冷やしている間にロードサービスに連絡をしておきましょう。

比較的軽度のオーバーヒートの場合であれば、最寄りの修理工場まで自走することも可能ではあります。

ただ冷却水の漏れなど明らかに不具合が発生している場合や、逆にオーバーヒートの原因も特定できていない場合は、無理はせずにロードサービスを利用して車両を運んだ方が賢明です。

オーバーヒートが発生した場合の修理費は?

オーバーヒートが発生した場合の修理費は?

オーバーヒートが発生した後に気になってくるのが修理費。

オーバーヒートを引き起こした原因となるパーツはもちろんのこと、オーバーヒートでエンジンそのものが損傷を受けている場合もあります。

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]オーバーヒートの修理費[/st-minihukidashi]

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各パーツの修理代・交換工賃

オーバーヒートの修理といっても、損傷の程度にもよりますし、また原因となったパーツによってもパーツ代や交換費用も変わってきます。

比較的安価な部類であれば冷却水の補充やラジエーターキャップの交換です。

冷却水は1,000円/L程度ですし、ラジエーターキャップも1つ1,000円程度。

仮に冷却水の交換も併せて行っても工賃としては4,000~5,000円程度です。

やや高額となってくるのはサーモスタット、ラジエーターホース、冷却用電動ファン、ウォーターポンプ、ラジエーターの交換。

冷却用電動ファン以外は冷却水を排出する必要があるので、冷却水交換の作業も含まれます。

部品代がサーモスタットで2,000円程度。ラジエーターホース、ウォーターポンプに関しては10,000~20,000円程度。

大きなパーツである冷却用電動ファンやラジエーターは20,000~80,000円程度になります。

おおむねどの作業も1時間~3時間の作業時間なので、工賃としては8,000~30,000円程度に。

最も高額になるケースがエンジンのオーバーホールや交換です。

オーバーホールにしてもエンジン交換にしても工賃としては10万円以上というのも珍しくないですし、エンジン交換の場合はエンジンにかかるパーツ代だけでも数十万~というのは当たり前になります。

オーバーヒートのダメージは?乗り続けられる?

比較的軽度な状態のオーバーヒートに気付き、適切な手順で応急処置をしたのであればエンジンのダメージは少なくなります。

ひとまず修理をしたのであれば、様子見をしながら乗り続けても問題ありません。

様子見が必要なのはオーバーヒートしたことによって、シリンダーヘッドやシリンダーブロック、ガスケットが歪んでしまうことがあるため。

歪みによってガスケット周りでのガスケット抜けが発生し、燃焼ガス、冷却水、オイルの漏れなどの不具合が後になって出てくることがあるのです。

この様な症状が確認された場合はオーバーホールもしくはエンジンの交換が必要となります。

オーバーヒートでダメージを受けるのはエンジンなので、エンジンさえ新しいものに交換すればオーバーヒートしても問題なく乗り続けることはできます。

ただ現実問題としては中古車が1台買えるぐらいの交換修理費用を支払ってまで乗り続けるのは難しいですよね。

事故車とは違って車両保険も適応されることもまずないので、修理費は全て自腹です。

よほど思い入れのある車でない限りは、新しい車に買い替えるかの検討が必要となってきます。

オーバーヒートを防ぐには日頃のメンテナンスが大切

オーバーヒートを防ぐ対策方法としては、やはり日頃のメンテナンスがかかせません。

冷却水やエンジンオイルは消耗品なので、適切な時期が来たら交換したいもの。

エンジンオイルはオイルの質や走り方にもよって交換時期は異なりますが、1年毎もしくは1万㎞までには交換したほうが良いでしょう。

サーキットなどでのレースを行った場合などは、その日の走行が終われば交換となります。

冷却水の場合は2~3年が交換目安ですが、近年では更に長寿命化されたスーパーLLCという選択肢もあります。

同時にラジエーターキャップの状態を確認するのも重要です。

まとめ

オーバーヒートを引き起こす外的要因のは常にあります。

例えば飛び石などによるラジエーターの破損…この様な場合のオーバーヒートを避けるのは困難です。

それでも最近はエンジンパーツの性能や品質が向上したこともあり、オーバーヒートも含めてエンジントラブル自体が少なくなってきています。

消耗品であるエンジンオイルや冷却水も高品質で長寿命化しているので、車検も含めた点検やメンテナンスによってオーバーヒートは未然に防がれているわけですね。

オーバーヒートを防ぐにはメンテナンスが欠かせません。
それでもオーバーヒートになってしまったら…その時は慌てずに「安全を確保する」ことを前提にして行動しましょう。

オーバーヒートへの対処は安全であることが確認できてから。

対処法を知っておくということは大事ですが、事故や火傷のリスクを冒してまで実行すべき事ではありません。

常に余裕と安全を確保して運転をするように心がけましょう。

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この記事を書いた人

ブーまる編集部では、実際に車を売ったり買ったり、自分で直してみたり「やってみた」を大事にしています。中古車系記事の監修は、一般社団法人日本リユース業協会の実施するリユース検定に合格した「リユース営業士」が行っています。整備記事の一部は、現役ディーラーマンが監修や執筆を行っています。

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