ラジエーター冷却水って減ることある?ただの水じゃない重要な役割と交換方法

ラジエーター冷却水って減ることある?ただの水じゃない重要な役割と交換方法

現在の自動車のは水冷式のエンジンが主流。そのため車には冷却水を備えたタンクとラジエーターが搭載されているわけです。

冷却水の役割はエンジンの過熱を防ぐこと。つまりオーバーヒートさせないことです。

しかし冷却水はただの水ではありませんし、交換が必要な消耗品でもあります。

点検や交換を怠るとオーバーヒートの原因となり、ロードサービスの利用や高額な修理費用、最悪の場合には廃車という可能性も。

この記事では、冷却水の役割や交換方法を詳しく解説していきます。

目次

ラジエーターの冷却水(クーラント)の役目って?

ラジエーターの冷却水(クーラント)の役目って?

冷却水という名が示している通り、エンジン内部を循環してエンジンの熱を吸収し、ラジエーターまで熱を運んで放熱させるのが主な役割です。

ただし通常の水ではエンジン内部をサビつかせてしまいますし、氷点下になると凍結することも。

そこで添加されるのがLLC(ロングライフクーラント)で、これを水で希釈したものを冷却水ないしクーラント液と呼んでいるのです。

LLCには水垢防止、凍結防止、サビ止め剤、漏れ止め剤としての役割があります。

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]冷却水(クーラント)の役目[/st-minihukidashi]

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ラジエーターの冷却能力

ラジエーターはエンジン放熱用の冷却器なので、本体そのものも熱を奪いやすい構造です。

ラジエーターの中を流れる冷却水の温度は、通常の車が時速50キロで巡航しているとき、ラジエーターの入り口の温度は95~100度くらいですが、出口から出るときの温度は65~70度くらいまで下がります。

季節やエンジンの出力の度合い、スピードによって変わりますが、入り口と出口の温度差が大きいほど、冷却能力が優れています。

暖房のための熱源としても使われる

ここからは豆知識なのですが、冷却水が取り込んだ熱は、車内の暖房のための熱源としても使われます。

エンジンから出る排熱を利用した暖房なので、燃費にはほとんど影響がありません。

またLLCには着色がされていて、主成分であるエチレングリコールは独特の甘い臭いがします。

走行中に甘い臭いがしたら冷却水の漏れが発生している可能性があります。

中古車の購入の際にエンジンルームを見るのであれば、LLCの飛び散りや臭いで過去のオーバーヒートや修理の有無も判別できるので、車選びの参考にしてください。

冷却水が減っていたら「水道水」を補充してもいい?

冷却水が減っていたら「水道水」を補充してもいい?

車の冷却システムには、一時的に冷却水を備蓄しておくためのリザーブタンクがあります。

もしリザーブタンクの水量ラインが減っていた場合、どのように対処すればよいのでしょうか?

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]対処法[/st-minihukidashi]

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短期間であれば水道水の補充でもOK

結論から言えば、リザーブタンク内に補充する範囲であれば、水道水を短期的に使うのは問題ありません。

ディーラーでもLLC原液を水道水で希釈して冷却水を作っているので、水道水を使うこと自体は珍しいことではないんですね。

とはいえディーラーで水道水を使うのは、配合表に基づいた適正な配合比率を算出できるからです。

リザーバータンクに水道水だけを入れると、配合比率は変わってしまいます。

水道水の補充は、あくまでも短期間での使用を前提とした対処法になるので注意しましょう。

ミネラルウォーターなら軟水を選ぶ

冷却水内にミネラル分が多いと配管内で水垢や錆の原因となり、冷却の妨げになってしまいます。

日本の水道水はミネラル分の少ない軟水に分類されているので、LLCを薄める際に使っても問題がないわけですね。

ドライブした先などでミネラルウォーターを補充用の水として活用する場合でも、できる限り軟水を使用したほうが良いでしょう。

サビやエンジンの故障につながるので専用の冷却水を入れ直す

エンジンは金属なので、水道水に触れ続けるとサビが発生してしまいます。

この錆を防ぐのが冷却水のLLC。またLLCは不凍液でもあり凍結防止の役割もあります。

実際にはその車の冷却水の全体量にもよりますが、軽自動車の冷却水は3L程度の場合も。

仮に全体量3L対して500mLの水道水補充となると、LLCの配合量は大きく減ることになります。

LLCの配合量の低下はサビや凍結によるエンジンの破損にもつながるので、適正な濃度に調整された専用の冷却水を入れ直す必要があります。

冷却水を点検するのはなぜ?

冷却水を点検するのはなぜ?

運転前の日常点検にはエンジンルーム内の点検もあります。その中の一つに冷却水の量も。

しかし実際に使って消費していくウォッシャー液とは違い、冷却水は消費する要素が思いつかないかもしれません。

なぜ冷却水を点検する必要があるのでしょうか?

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]点検の必要性[/st-minihukidashi]

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冷却水は少しずつ減少する

実は冷却水は減っていくものなのです。キャップの閉め忘れで蒸発するわけではありません。

国産車の多くが開放タイプのラジエーターシステムを採用していて、キャップをしていても僅かな隙間があり、少しずつではありますが確実に蒸発して減っていくのです。

リザーブタンクは冷却水の温度上昇によっておきる冷却水の体積変化を受け止めるためのタンク。

そのためタンク内では冷却水の増減が常に起きるようになっていて、タンク内は大気圧になっています。

冷却水の配管の中で唯一大気圧であるリザーブタンクは蒸発した水分の逃げ道でもあるわけです。

冷却水が漏れる理由や原因

冷却水の減少と言えば単純に漏れが発生していることも考えられます。

冷却水は複数のホースで接続されているので、接続口やホースから漏れてしまう可能性は常にあります。

またエンジン内部のウォーターポンプも駆動軸はエンジン外周のベルトのプーリーまで伸びているので、この間のシールが劣化することでも冷却水は漏れてきます。

減っているのに気付かないとオーバーヒートも

冷却水が減ってしまえば、当然冷却性能にも影響がでます。

リザーブタンク内の冷却水が減ってしまえば、必要な時に冷却水を供給することができなくなるので、冷却不足によるオーバーヒートを起こす可能性がでるのです。

補充や交換時期っていつ?

補充に関してはリザーブタンク内のHi-LoもしくはMax-Minの間にあれば正常。

下限より下回っていれば補充が必要です。

冷却水は走行距離を元に交換時期を算出することが多いですが、劣化が著しければそれが交換時期となります。

LLCの一般的な交換時期は2年から3年で交換時期。おおよそ車検と同じタイミングで交換時期を迎えます。

新型車に採用されてきているスーパーLLCの場合は、新車より16万㎞もしくは7年、2回目以降は8万キロもしくは4年となっています。

冷却水を確認する方法

オーバーヒートのリスクを回避したいのであれば、やはり冷却水の点検は必要。

点検方法としては比較的簡単なので、ボンネットを開ける機会があればチェックしておきたいものです。

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]点検方法[/st-minihukidashi]

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冷却水の温度が下がっているかチェック

冷却水の量を点検するときは、エンジンが冷えた状態で行います。

具体的には水温計がC(=Cold)のラインになっていればエンジンは十分に冷えています。

水温計がない車両の場合は、冷間時を表すコールドマークのインジケーターが点灯すればエンジンは冷えているという事になります。

国産車の場合は冷却水が熱くても、リザーブタンクの蓋を開ける分には問題ないです。

しかし輸入車などの車種は、リザーブタンクではなくエキスパンションタンクを採用した密閉タイプのラジエーターシステムを採用している車両があります。

蓋には圧力がかかるので、ラジエーターキャップと同様に熱水が噴き出す可能性はあるので注意してください。

リザーブタンクの液量を確認する

エンジンが冷えていることを確認できたら、ボンネットを開けてリザーブタンク内の水量ラインを確認しましょう。

トラックなどの場合は車外からでも確認できる場合もあります。

Hi-LoもしくはMax-Minなどの表記がされた二つの水量ラインがあるはず。この上限と下限の間に水量があれば正常です。

冷却水の色を確認する

水量の確認ができたら次は色。冷却水は混合されているLLCの着色によって赤、緑、青などの種類があります。

LLCの色による性能の違いはありませんが、LLCの色は同じものを使いましょう。

違う色の物を混ぜてしまうと変色するので見た目での判断が難しくなります。

劣化の判断基準は濁り具合。サビや水垢が混じるとLLCの色に対して白や黒が混じったような色に変化してきます。

濁りが見えるようなら劣化しているので、冷却水の交換を検討しましょう。

新車時に冷却水の色をスマホなどで保存しておくと、確認するときの比較対象として便利です。

冷却水の補充や交換の費用は?

冷却水の補充や交換の費用は?

冷却水の量や色を点検して、もし異常があればどうすれば良いのでしょうか。

多くの方はプロの整備業者に依頼をすると思いますが、整備費用はどのくらいかかるのが解説していきます。

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]冷却水の補充や交換の費用[/st-minihukidashi]

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業者に依頼すると費用は?

車種や整備工場によって価格は変わりますが、ここでは軽自動車で2Lの冷却水を交換すると仮定します。

基本的に冷却水の補充や交換として請求される部品代はLLCの分だけ。

追加でラジエーターキャップの交換が発生するかもしれませんが、ラジエーターキャップのパーツ代は1000円程度です。

整備工場でしたらスペースの関係もあり、希釈前の原液状態で保存していますし、このLLCの原液もそれほど高いものではありません。

希釈した状態で1Lあたり500~1000円とかの費用なので、メンテナンスパックなどに入っていればごく少量の補充ぐらいは無料サービスというケースも。

冷却水交換となれば、それなりの作業時間が必要になりますので作業工賃も発生します。

ただし冷却水交換にはアイドリングなどの待ち時間となる作業工程がいくつか存在しますので、実際の作業工賃として計算されて請求されるのは2000~4000円程度に。

交換費用として合計で4000~6000円程度になるかと思います。

補充か交換かで冷却水を使い分ける

補充であれば最初から配合比率を調整された冷却水を使うのがベター。

もちろんLLC原液を希釈して作ることもできますが、計算する分だけ面倒です。

交換に関しては方法にもよりますが、LLC原液から希釈して使っていく方が良いでしょう。

実際に使う量が交換作業をしてみないとわからないので、LLC原液から多めに作れる状態であることが望ましいからです。

冷却水の交換に必要な道具

まず必要なのはLLC原液との配合比率を正しく測り、作り置くための「目盛りが付いたオイルジョッキ」。これは計量カップやバケツでも代用できます。

冷却水交換で非常に便利なのが、冷却水をラジエーターキャップの取り付け口から注ぐ際に使う「クーラントファンネル」という専用の漏斗です。

整備工場であれば必ず用意されていると言っていい道具。しっかりとしたエア抜きをするのにも効果的ですので、冷却水交換の際には用意しておいて損はないと思います。

冷却水の補充手順

冷却水の補充手順

冷却水の補充方法は簡単。ここでは冷却水の補充に際しての注意点や手順を確認します。

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]補充方法[/st-minihukidashi]

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補充用の冷却水を準備する

まずボンネットを開けて冷却水の色を確認し、その冷却水と同じ色のLLCを使ったものを用意します。

補充程度であればそこまでの量は必要ないので、LLC原液ではなく既に希釈されたものを使いましょう。

リザーブタンクに補充する

エンジンが冷えている状態であることを確認し、リザーブタンクの水量ラインを確認します。

二つの水量ラインの間に入っていれば良いので、少しずつ注いでいきます。注ぐ際には漏斗などがあると便利ですね。

水量ライン内に冷却水が収まればキャップを閉めて補充完了。こぼれた冷却水は水で洗い流しましょう。

冷却水の交換手順

冷却水の補充は非常に簡単。しかしラジエーターから冷却水を抜くことになる交換作業は難しくなります。

エア抜きなど重要な作業もありますので、手順はしっかりと把握しておきましょう。

[st-minihukidashi fontawesome=”fa fa-map-o” fontsize=”90″ fontweight=”bold” bgcolor=”#5F80AC” color=”#fff” margin=”0 0 0 0″]交換作業[/st-minihukidashi]

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エンジンが冷えている状態でやる

交換に際には、ラジエーターのキャップを開けることになります。

この時に冷却水が高温だと、キャップを開けると同時に蒸気となって吹き出しヤケドを負うことに。

必ずエンジンが冷えていることを確認してから作業を開始してください。

コックを緩めて冷却水をだす

エンジンが冷えていることを確認できたら、ラジエーターキャップを外します。

ラジエーターの下部には冷却水排出用のドレーンコックがあるので、コック下に冷却水を受け止める容器を用意してからコックを開いてください。

ドレーンコックから冷却水の排出が止まったら、コックを閉めて排出完了。

この時に排出された古い冷却水の量を把握しておくと、交換用の冷却水を注ぐ量の目安になります。

排出された古い冷却水は産業廃棄物として処分することになります。

普段から冷却水やエンジンオイル交換作業をしている整備工場、ガソリンスタンド、カー用品店などで処分料を支払えば引き取ってもらえると思います。

真水をいれる

古い冷却水を排出しましたが、これはラジエーター内部の冷却水。

まだエンジン内部には古い冷却水が残っています。

これを排出するために真水をラジエーター内に補充し、エンジンを2~3分アイドリングさせて配管内に循環させた後に再びドレーンコックから排出します。

これを2~3回繰り返すことによって、配管に残った古い冷却水も洗い流すことができるのです。

交換用の冷却水を入れる

ラジエーターキャップの取り付け口にクーラントファンネルを取り付けて新しい冷却水を注ぎます。

排出された冷却水の量がわかっているのであれば、ひとまず同じ量だけ注いでやります。

LLCと水の配合比率ですが、配管内には真水がありますので4:6もしくは5:5の比較的濃い目の配合でも問題ないでしょう。

エア抜きをする

冷却水交換で一番重要と言えるのがエア抜き。

しっかりとしたエア抜きをしないと、冷却不良を起こしてオーバーヒートにつながることもあります。

エンジンを始動すると配管内のエアーが排出されて、それと同時に冷却水が取り込まれます。

作業中はクーラントファンネル内の冷却水が無くならないように、注意しながらアイドリングをして暖気運転をしてエンジンを温めていきます。

水温計があるならゲージの中央付近まで、もしくはコールドマークのインジケーターが消えるまでが目安です。

暖気が完了したら車内のエアコンを「暖房最大、風量最大、外気導入」の状態にします。

こうすることで暖房の経路にも冷却水が導入されるようになります。

更に配管内のサーモスタットを開く必要があるので、アクセルを踏み込み毎分3000回転程度を維持。

水温が上がってサーモスタットが開けば、ラジエーターへ冷却水が流れるようになります。

ラジエーターへ冷却水が流れるようになって温まった頃には、ラジエーターの電動ファンが回るので、それを目安にすると良いでしょう。

ラジエーターの上下のホースに触って温度を確かめる方法もありますが、火傷には注意が必要です。

サーモスタットが開いたことを確認したらエンジン回転数を、1000回転、2000回転、3000回転、それぞれ10秒程維持。

最後に4000回転以上になるように一気にアクセルを踏み込むレーシング作業を3~5回ほど行います。

以上でエア抜き作業は終了。

クーラントファンネルを取り外し、ラジエーターキャップを閉めていき、エンジンルーム内にこぼれた冷却水などがあれば、水で洗い流します。

まとめ

エンジンオイルに比べると交換頻度が低いですし、交換作業にも手間がかかるものです。ただ交換を怠るとオーバーヒートのリスクが高まります。

通常のLLCであれば2~3年での交換時期ですから、車検の際に交換してしまうのがベスト。

リザーブタンク内の冷却水の量は一見大丈夫そうでも、冷却水の劣化により防サビ機能などが低下します。

それがラジエーターキャップの錆び付きに発展してオーバーヒートにつながることも。

既にラジエーターキャップに錆が見えるというのであれば要注意です。

オーバーヒートした時の修理費を考えれば、冷却水やラジエーターキャップの交換などにかかる費用は安価です。

オーバーヒートによって車を台無しにする前に、こまめな冷却水の点検と交換を心がけたいものです。

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この記事を書いた人

ブーまる編集部では、実際に車を売ったり買ったり、自分で直してみたり「やってみた」を大事にしています。中古車系記事の監修は、一般社団法人日本リユース業協会の実施するリユース検定に合格した「リユース営業士」が行っています。整備記事の一部は、現役ディーラーマンが監修や執筆を行っています。

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