車のエアコンから異音が聞こえてきたらドキリとするでしょう。
万一故障だったら修理代が心配で憂鬱になりますが、夏はエアコン無しで車に乗れないので益々頭が痛くなりますね。
最終的にディーラーや整備工場に見てもらうことになりますが、異音の種類によって考えられる原因が異なります。
修理の出費は痛いですが、点検に持ち込む前に異音を聞き分けることができればその後の対策を立てやすく、必要以上に事態を悪化させることを避けられます。
異音の種類を把握して、万一の時に冷静に対応して下さいね。
車のエアコンから発生する異音のよくある原因とは?
よくある原因はコンプレッサーの故障ですが、他にもブロアファンモーターの不具合、エアコンフィルターの汚れで異音が出ることもあります。
またエアコンガスの減少が異音を発生させることもあるのです。
【原因1】コンプレッサーの故障
コンプレッサーが故障していると、「ウィーン」「ジー」「ガラガラ」「ブーン」という異音が発生します。
このような音が鳴っているときは、エアコンのガス漏れかオイルの減少が原因です。
まずは整備工場でガス漏れがないか調べてもらい、必要であればガスまたはオイルの充填を行います。
エアコンガスはエンジンオイルとは別物だブー
どちらも問題ない場合は、コンプレッサー自体が寿命を迎えている可能性もあります。
コンプレッサーはいきなり故障することもあり、コンプレッサーが動かなくなるとエバポレーターもブロアファンモーターも動作しないので、夏場に起きると最悪ですね。
【原因2】ブロアファンモーターの故障
「カラカラ」または「キュルキュル」「バタバタ」という異音が出たら、ブロアファンモーターが故障している可能性があります。
ブロアファンモーターは扇風機の役目があり、冷えた空気を車内へ送りますが、故障するとエアコンをつけても冷たい風が車内に送られません。
修理あるいは交換する必要があり、修理代は部品代込みで2〜3万円程度が相場です。
【原因3】エアコンフィルターの目詰まり
エアコンフィルターを長く交換しないと、目詰まりを起こしてガラガラという異音が発生します。
フィルターが詰まるとエアコンの効果が落ちるばかりか、汚れを車内に持ち込んで悪臭が漂います。
車検の時に交換する方が多いと思いますが、前回の交換から10,000km走行または1年後には清掃、あるいは交換することが理想的ですよ。
自分で交換すれば部品代の1,000円程度で済みますし、ディーラーに依頼しても5,000円程度で済みます。
タバコを吸っている人や、ペットを飼っている人はフィルターが目詰まりを起こしやすいので定期的に交換しましょう。
【原因4】ファンベルトの鳴き
ガラガラやキュルキュル音はファンベルトが原因のこともあります。
ベルトが緩んでいたり、亀裂または劣化したりすると発生します。
万一ファンベルトが切れたらエアコンだけでなく車自体が動かなくなるので、早めに交換してもらいましょう。
なんでエアコンが壊れて車が動かなくなるんだブー?
ファンベルトはエンジンのエネルギーを各所に伝える役割を持っているため、エアコンだけが使っている部品ではないのです。
ファンベルトが切れると車のあらゆる機能に支障を来すので、切れる前に交換しておくことが大事です。
走行距離100,000kmまたは使い始めから3~5年後に交換しますが、使用環境によって異なるので、ガラガラ・キュルキュル音が聞こえた時は注意して下さい。
【原因5】エアコンガスが減っている(またはない)
コンプレッサーからの異音がウオーンという、エンジンの回転数と同調した音が後でガラガラ音に変化すると、エアコンのガスが減っている可能性があります。
エアコンをつけていてもいなくても、スピードが出ていない時に出やすい異音です。
ガラガラ音は既にコンプレッサーが故障していることも考えられます。音に気が付いたら早めに対応しましょう。
エアコンガスはガソリンスタンドでも補充できる上、費用も5,000円程度です。
ガスがしっかり入っているとエアコンの効きも良くなるので、毎年夏前にガス補充をしておくことをおすすめします。
エアコンからでる異音の種類でも症状がわかる?!
エアコンから聞こえる異音で、不具合の症状を把握出来ます。
音は様々ですが、似たような紛らわしい異音は判断に迷うこともありますね。
下記を参考にして、どの箇所が壊れているのか判断しましょう。
異音によって症状をある程度、特定できるブー
ウィーン
エアコンのコンプレッサーに何らかの不具合があると、スイッチを入れた時にウィーンという異音が発生します。
原因は様々で、ガスが減ってコンプレッサーの焼き付きや、コンプレッサーそのものが劣化するケースが考えられますね。
またはベアリングという部品が、何かしらの不具合で損傷している場合にも発生することがあるのです。
原因は「コンプレッサーの故障」を参考にしてください。
ブーン
ブーンという異音が聞こえると、ビニール袋や葉っぱなどのゴミがブロアファンモーターに付着していることがあります。
ゴミは気が付いたら取れている場合もありますが、いつまでも取れない時は除去するしかありません。
自分では不安な時は整備工場やディーラーに依頼しますが、無料でやってくれる場合もあれば数千円程度請求されることもあります。
筆者が同様のケースでディーラーに持っていったときは、無料でゴミを取ってくれました。
キーン
室内に冷たい風を送るためのブロアファンモーターが劣化したり、またはファンモーターが油切れを起こしたりなどの原因で発生する異音です。
ファンの回り方の強弱と連動して、異音の大きさが変化することもあります。
原因は「ブロアファンモーターの故障」を参考にしてください。
ウォーン
エアコンのガスの量が不足している時にコンプレッサーから発生します。
またブロアファンモーターのベアリングから発生することもありますが、音がしても長時間持ちこたえるので、エアコンの吹き出し量が弱くならない限り気にすることはありません。
エアコン自体が効かないようなら、ガスが不足している可能性があります。
詳しくは「エアコンガスが減っている」を参考にしてください。
ジー
ジーという異音は古くなった車によく発生します。
エアコンをつけた時だけ発生するなら、コンプレッサーの故障です。
ジー音はカラカラ音に変化する場合があるので、コンプレッサーのそばにあるマグネットクラッチという部品が原因という場合も考えられます。
原因は「コンプレッサーの故障」を参考にしてください。
シュー
エアコンのガス漏れが起きている可能性があります。
エアコンとパイプまたはコンプレッサーとの結合部分に、ゴムでできたパッキンが装着されていますが、経年劣化でパッキンが破れてガスが漏れることがあるのです。
エアコンの効きが悪く感じたら、早めにディーラーまたは整備工場に持っていくことをおすすめします。
カチカチ
コンプレッサーのそばにあるマグネットクラッチが吸い付いたり離脱したりしている可能性があります。
アクセルとマグネットクラッチは連動しているので、加速するとカチカチ音が鳴ります。
エアコンをつけて加速する時に鳴れば問題ありませんが、エアコンを切っていて鳴る時はコンプレッサーに問題があります。
放置するとエアコンが効かなくなるので、早めに整備工場へ持ち込みましょう。
カラカラ・カタカタ
エアコンからカタカタ鳴るときは、ブロアファンモーターやガスの放熱用ファンの異音またはコンプレッサーやベアリングの異音が考えられます。
カタカタはブロアファンモーターに葉っぱが侵入して、風の影響でカタカタと鳴ることが考えられます。
風量に連動して音も大きくなるなら、葉っぱの可能性が高いです。
しばらく様子を見てからディーラーに相談するブー
シャー
エアコンのマグネットクラッチは、エアコンのスイッチを入れると繋がり、切ると離れることでコンプレッサーを制御しています。
シャーという異音はマグネットクラッチが悪くなると発生する異音です。
またはコンプレッサーのベアリングも考えられますね。
エアコンがしばらくすると効かなくなるようなら、マグネットクラッチ故障が考えられるので早急に修理をしましょう。
費用は交換部品の範囲にもよりますが、コンプレッサーを外さなくても作業ができる場合は2〜3万円程度で修理可能です。
取り外す場合は5〜6万円ほどかかるブー
キュルキュル
ファンベルトが原因とよくいわれますが、ファンベルトを掛けているプーリーという車輪が、ベアリングの摩耗によってキュルキュル音を発生させることもあります。
またマグネットクラッチが滑ってコンプレッサーから異音が発生することもあるのです。
いずれも早急に修理をした方が良いので、ディーラーまたは整備工場に相談しましょう。
ベアリング交換だけなら1万円程度で修理可能ですが、異音を放置して他の箇所まで故障が広がっている場合は更に修理代がかかることになります。
異音別に故障の原因をご紹介しましたが、「この音がしているからここが悪い!」と断定するのはプロの整備士でも難しいことです。
異音はすでに異常がある状態であり、早急にディーラーまたは整備工場に持っていくことが必要です。
放置して故障が悪化したり、車が動かなくなったりすると余計にお金がかかることになるので、異音がしたらすぐに相談しましょう。
車のエアコンからでる異音への対処法
エアコンから聞こえた異音の種類によって、交換や修理など、必要な対処法を講じることになります。
異音を把握することで必要な対策を早めに考えることが出来ますよ。
車のエアコンの修理費用の相場は?
エアコンは修理する個所によって費用の相場が変わリます。千円単位で済むこともあれば、十万円単位に上ることもあるのです。
エアコン修理代を一覧表にまとめたブー
修理内容 | 修理代(参考) |
---|---|
ガス補充 | 5,000〜10,000円 |
コンプレッサー交換 | 70,000〜130,000円 |
エバポレーター交換 | 50,000円 |
サーモスタット交換 | 10,000円 |
ラジエーター交換 | 30,000〜80,000円 |
ブロアファンモーター交換 | 30,000円 |
ガスの補充程度なら3,000~5,000円程度で済みますが、ガスが漏れていたら20,000~30,000円、コンプレッサーの交換ならリビルト品で70,000円、新品に交換するなら130,000円程度覚悟しましょう。
エバポレーターの交換だと50,000円程度で、コンプレッサーの半分くらいですがそれなりの値段になりますね。
点検だけなら無料なケースが多いので、見積もりをもらうために一度ディーラーや整備工場に持ち込んでみることをおすすめします。
車検を受けたディーラーなら無償で点検してくれる?
新車で購入した場合、エアコンが通常の使い方で故障した場合にはディーラー保証があります。
保証期間内なら無償で点検または修理が受けられることがあるので、万一保証期間の間に故障した場合は相談してみましょう。
保証は5年または6万キロなんだブー
ブロアファンモーターを修理
ブロアファンモーターが故障した時は新品と交換します。
交換を整備工場やディーラーに依頼しても構いませんが、新品のブロアファンモーターはネット通販なら5,000~10,000円くらいで買えるので、自分で交換することも出来ますよ。
車内にあるパーツなので、エンジンルームを開ける必要もありません。
リビルト品(中古)のコンプレッサーと交換
異音の原因がコンプレッサーの場合は、新品に交換すると費用が相当かかります。
既存の部品を洗って再びセットしたリビルト品と呼ばれる中古のコンプレッサーと交換する方法もありますよ。
リビルト品に交換する場合は、70,000円くらいが相場です。
新品のコンプレッサーと交換
勿論新品に交換しても大丈夫です。新品のコンプレッサーと交換する場合、車種やメーカーにもよるので一概にいくらとは言えませんが、130,000円前後は見ておく必要があります。
リビルト品か新品に交換するか、自分が捻出できる範囲の予算でチョイスしましょう。
エアコンの異音に関するよくある質問
カーエアコンには様々なトラブルがありますが、特に異音については、不安に感じるかもしれません。
カーエアコンのトラブルは、原因を特定して修理することが大切です。
ここでは、カーエアコンの異音に関するよくある質問について解説します。
車のエアコンがカチカチ繰り返す場合は?
コンプレッサーのカチカチ音は、冷房や除湿のためにエアコンをオンにしたときに吸着・離脱するマグネットクラッチが原因になっている可能性があります。
また、安全対策として圧力が高くなりすぎるとコンプレッサーが停止します。
さらに、ガスが不足して圧力が下がると、コンプレッサーの焼損の可能性を避けるために、コンプレッサーが停止する場合があります。
カチカチ繰り返す場合には、修理工場やガソリンスタンドで圧力を測定してみることをおすすめします。
車のエアコンが最初だけキュルキュル音がある
エアコンのパフォーマンスが低下した場合、それはコンプレッサーを駆動するベルトが緩んでいる可能性があります。
この場合、ベルトを細く調整するか、新しいベルトに交換することで、異音は軽減させることができます。
また、エアクーラーは大きなエネルギーを消費します。そのため、オルタネーターが高速に回転し、騒音を生じる可能性があります。
これは、エアコン自体は正常に稼働していますが、異音が気になる場合は、整備工場に点検を依頼することをお勧めします。
車のエアコンのキュルキュル音を放置するとどうなる?
キュルキュル音は、ベルトの消耗が激しい状態なので交換のサインになります。
また、調整がうまくいかず、適切な張力が保てない場合にも発生することがあります。
最近では、1本のベルトで複数のユニットを駆動するため、ベルトへの負担が大きくなっています。
日頃からしっかりとチェックして、大きな出費につながらないように注意してください。
車のエアコンを長持ちさせる方法
1.冬でもエアコンを使う
コンプレッサーは使わないと故障の原因になります。
現役整備士の方に聞いたところ、エアコン故障による入庫が最も多いのがゴールデンウィーク明けなんだそうです。
冬の間はエアコンを使わず、夏が近づいて暑くなってきてエアコンをつけたら効かないというケースが多いんだとか。
こうした故障を防ぐためには、冬でもコンプレッサーを稼働させる必要があります。
家電でもなんでも、急に使い始めると壊れるものだブー
定期的にコンプレッサーを動かしておけば、コンプレッサーを長持ちさせることができます。
2.エアコンガスをクリーニングする
ガスがなくなったことによるエアコン故障もよくある話なので、エアコンガスは毎年クリーニングしておくことをおすすめします。
ガソリンスタンドや整備工場では、5,000円程度でエアコンガスクリーニングを行ってくれます。
エアコンパイプ内の不純物を取り除いてくれるので、エアコンの効きが良くなります。
またガスが減っている場合は、充填もしてもらえます。
毎年こうしたメンテナンスを行えば、エアコンを最適な状態に保ち続けることができます。
3.異音がしたら早めに点検してもらう
異音は故障のサインです。
「変な音がするけどエアコンは効いてるから大丈夫」というのは危険信号です。
本来エアコンからは音がしないのが正常なので、変な音がしているということは近いうちにエアコンが効かなくなる可能性があります。
点検だけなら無料で行ってくれる上に、早めであれば簡単な修理で直ってしまうこともあります。
放置していてもメリットは一つもないので、早めに点検に出しましょう。
異音を聞き分けて冷静に対処しよう
車が発する異音は何らかのトラブルのサインですが、エアコンは大体がコンプレッサーやブロアファンモーター、マグネットクラッチに原因があります。
エバポレーターやコンプレッサーの故障は、費用は高いですが交換で済みます。
ブロアファンモーターの交換はネット通販なら5,000円で出来ます。
エアコンフィルターの目詰まりは、業者に依頼しなくても自分で交換できますよ。
異音を聞き分け、冷静にその後の対策を立てて下さいね。