スピード違反の取り締まりで、ネズミ捕りという言葉をよく耳にしますね。
見通しのよい直線道路を気分よく走っていたら、突然前方に赤い旗を持った警察官に停止を命じられ、脇道に誘導されて警察官に「ちょっと、スピード出てましたねえ」と言われ、違反切符を切られてガックリ、、、
長い間クルマを運転していると、一度はそんなことになるかもしれません。
警察のネズミ捕りはどんな道で、時間帯はいつ行っているのか、ある程度決まっているようです。
今回はネズミ捕りの方法と、行われやすい道や時間帯など、警察のネズミ捕りに気をつける方法をお教えします。
ネズミ捕りと呼ばれる意味と警察の取り締まり方法
なぜ、警察のスピード違反の取り締まりがネズミ捕りと呼ばれるのか、理由は取り締まりの方法が動物のネズミ捕りに似ているからです。
ネズミ捕りと呼ばれる意味
警察が実施しているネズミ捕りとは、スピード違反の取り締まり全体のことだと思っている人がいますが、そうではありません。
ネズミ捕りと呼ばれる意味は、野球のスピードガンのような機器を道路際に設置して、クルマのスピードを測って取り締まりを行う方法です。
路肩に隠れてスピードを計測するので、走行中の車からは見えにくくなっています。
ネズミの通り道に機具を設置して捕まえることに似ていることから、そう呼ばれるようになりました。
警察のネズミ捕りの方法
速いクルマが近づいてくると、機器のそばに座っている測定担当の警察官がスイッチを押してスピードを測ります。
「時速何キロで取り締まりをする」と設定したスピードを越えると警報音が鳴り、100~200メートル先にいる警察官に無線、もしくは有線で車種とナンバープレートの数字を伝えて「御用」となるのです。
ネズミ捕りは何キロオーバーすると捕まる?
警視庁が公開しているデータによると、最も取り締まられている速度は「20キロオーバー」でした。
2023年に警視庁が公開した「道路交通法違反の取締り状況」は下記の通りです。
速度違反 | 取締り件数 |
---|---|
15km未満 | 78 |
20km未満 | 277,769 |
25km未満 | 292,723 |
30km未満 | 183,204 |
50km未満 | 122,218 |
50km以上 | 12,508 |
この表を見るとわかるように、オーバーしている速度が15km未満の場合はほとんど捕まっていません。
逆に15km以上20km未満は約27万件も捕まっており、20km以上25km未満は約29万件も捕まっています。
全体の約64%が15km〜24kmオーバーだブー
警察が理由を公表しているわけではないので理由は憶測になりますが、このこの速度域が”最も捕まえやすい”と考えられます。
15km未満の速度オーバーの場合、誤差として片付けられる可能性もあり、無理やり捕まえてもトラブルになる可能性があります。
逆に30km以上の速度オーバーだと、取締りをする際に事故に繋がる可能性もあります。
ネズミ捕りは速度違反をした車を無理やり停めてサインさせるので、その際に人身事故などが発生する危険があります。
また速度違反をする側も、20km前後のスピード違反が「うっかりやりがちな速度」ともいえるのです。
ネズミ捕りの被害に遭わないためには、10キロ以上オーバーしないように注意した方がよいですが、何キロ以下なら大丈夫というよりは、法定速度をオーバーしないことが肝心です。
30km以上で違反すれば捕まらない!なんてことはないブー
飛ばせばネズミ捕りの被害には遭わないかもしれませんが、オービスにバッチリ撮影され、後日出頭命令が下る可能性も忘れてはいけません。
速度測定カードという書類に割り印を求められる
ネズミ捕りでの取り締まりを受けると、「速度測定カード」という書類に、測定したスピードが書かれた紙を貼りつけ、ドライバーに割り印またはサインを求められます。
中には、取り締まりを受けたことに納得がいかずに、割り印を拒否するドライバーもいます。
すると警察は「取締機が間違っているはずがない」と詰め寄り、無理やりサインをさせるケースもあるようです。
しかし、実際に警察のミスにより最高裁判所で略式命令が取り消しになった事例もあるので、サインは慎重にしたほうがいいですね。
益田市の国道で、警察が制限速度を誤って速度違反を取り締まり、罰金の略式命令が確定した2人について、最高裁判所は、「違法な手続きで被告に不利益になる」として略式命令を取り消し、裁判を打ち切る判決を言い渡しました。
※引用:NHK「最高裁判所 速度違反取り締まりミスで罰金の略式命令取り消し」より
警察官は、「あなたがこの書類を見たということであって、違反を認めたという書類ではありません」と説明して割り印またはサインを求めます。
どうしても納得できない場合は「交通違反を否認はできる?」でも解説しているように否認することもできますが、最終的には裁判に発展することもあるので、ある程度の覚悟が必要です。
割印やサインを求められた場合は、その場でドライブレコーダーの映像を提出するなどして、即時撤回を求めたほうが良さそうです。
警察のネズミ捕りで後日逮捕が少ないのはなぜ?
ネズミ捕りで摘発される違反者は現行犯なので、その場で押さえる必要があります。
ネズミ捕りから逃げれば、取り締まりの現場に配置されている車両に追跡され、最終的には逮捕されるので、オービスのように後日通知が郵送されることはないのです。
違反の事実を立証しにくい
警察によるネズミ捕りは、オービスのように運転者の顔とナンバープレートの写真を撮っていません。
誰が運転しているか、車を停めないとわからないので、現行犯で押さえる必要があるのです。
時間が経過していると労力がかかる
ネズミ捕りでは、他の車両を計測した直後には測定器の計測値がロックされて、計測ができなくなります。
また、すぐ近くを他の車両が走行していたために、計測条件に合わないこともあり、計測条件が悪いときは、立証には労力が必要になります。
こうした理由があるので、警察も「確実に速度違反をしたことが立証できる相手」だけに絞って取締りを行います。
「あの車はよかったのに!」というのは、たまたま自分のタイミングが悪く捕まってしまったケースに該当します。
運の要素もあるってことだブー
警察のネズミ捕りから逃げることはできる?
ネズミ捕りは、逃走されることを考慮して人員や車両を配置しています。
停止を命じられたのを無視して逃げれば追いかけられ、それでも無視すると家まで追いかけられることもあります。
逃げ切れない理由を解説します。
警察のネズミ捕りは役割分担がある
ネズミ捕りは、10人くらいの警察官が配置され、役割分担で目立つのは、測定器のそばでスピードを測定する警察官です。
さらにその先には、違反者を呼び止める警察官がいて、呼び止められたあと誘導される空き地には、違反切符を切る警察官がいます。
実はたくさんの警察官がいるんだブー
停止係の近くには追跡用の白バイが待機
ネズミ捕りの現場には、追跡用の白バイが待機しています。
白バイの追跡から逃げると、無線による緊急配備で何台ものパトカーによる追跡が始まり、激しいカーチェイスを繰り広げることになるでしょう。
よく「逃げ切れば勝ち」といいますが、確かにネズミ捕りは現行犯なのでその場で取り締まる必要があります。
無事に逃げ切れば、警察も速度違反をした証明が難しくなるので検挙はされないかもしれません。
しかし大量の白バイから逃げるのは至難の業で、逃げ切るまでに追加で数々の違反を重ねることになります。
その件で捕まる可能性もありますし、違反の内容によっては後日出頭命令が下ることもあるでしょう。
逃げることは無駄ってわかるブー
ネズミ捕り対策!行われやすい道と時間帯を知っておこう
ネズミ捕りが行われやすい道と時間帯は、ある程度「法則」があります。
見通しのよい直線道路で、測定機を置いた場所から数百メートル先に、警察のパトカーと違反車両を止めやすいスペース、具体的には道路わきの空き地や大きめの側道などがある場所が選ばれます。
取り締まりを受けた車両を誘導して、違反切符を切る作業をするので、十分なスペースがあることは必要条件でしょう。
時間帯は、道がすいていてついスピードを出しやすい朝と、夕方の帰宅時間帯が狙われやすいです。
住宅街などの生活道路では、事故防止の観点から昼間に取締りが行われるケースもあります。
結局いつ注意すればいいんだブー?
各都道府県警察では、ホームページで速度取り締まり重点路線を公開しているケースが多いです。
筆者が住んでいる埼玉県では、県警が「埼玉県警察速度取締り重点路線一覧」という資料を公開しています。
お住まいの都道府県警察のホームページから、速度取り締まり情報を確認することをおすすめします。
お出かけ前には、行先の取締り情報を確認するのもいいですね。
パッシングは対向車からのサイン?
ネズミ捕りが行われているスポットでは、対向車がパッシングでお知らせしてくれることがあります。
特に大型トラックは視界が高く、警察が取締りをしている様子を上から見ることができます。
その上で対向車に「この先取締りをしているから注意!」という意味でパッシングをしてくれるのです。
もし、対向車が数台続けてパッシングをしてくれたときは、かなりの確率で取締りが行われている可能性があります。
速度に十分注意して、ネズミ捕りを回避しましょう。
まとめ
- ネズミ捕りとは警察の速度違反取締りのことを指す言葉
- 警視庁の発表によると、最も捕まっているのは15km以上20km未満のスピード違反
- ネズミ捕りが誤認だったこともあるので納得できない場合はドラレコ映像で即抗議を!
- ネズミ捕りは逃走を防ぐ対策が講じられているので逃げ切ることは事実上不可能
- 各都道府県警察が公開している取締り情報と対向車のパッシングを見逃すな!